【1月10日 AFP】国家ぐるみのドーピングに対する制裁を解除されながら、求められていた期限内のデータ提出をロシアが怠った件で、ロシア政府は9日、世界反ドーピング機関(WADA)への提出が間に合わなかったのは輸送の問題が原因だったと話した。

 この問題では、ロシアは国内反ドーピング機関(RUSADA)に科されていた資格停止処分を2018年9月に解除されたものの、同時にモスクワの元研究所のデータを年内にWADAへ提出するよう求められていた。しかし、納期が守られなかったことを受け、WADAは14日~15日のコンプライアンス委員会で今後の方針を検討する。

 元研究所からのデータ入手へ向けたWADAのチームのロシア入りを控える中、この件に言及した大統領府は、WADAが前回モスクワを訪れた昨年12月の時点でデータを引き渡す準備は整っていたと明かした。WADAの代表団は当時、使おうとしていた機器がロシアの法律では認められないものだったからだという理由で、収穫なく現地を後にすることになっていた。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、「データの輸送手段や使用する機器について、意見の一致しない部分があった。言ってみれば、物自体というよりは物流の問題だ」「われわれとしては、WADAの代表との間で、今後の流れに関する相互理解が得られていると思っている」と話したものの、詳しいことは明かさなかった。

 WADA側は10日にも作業を始めると発表しており、広報を通じて「チームはすでにモスクワ入りしており、あすの作業開始を見込んでいる」と話している。(c)AFP