【1月9日 AFP】サッカーフィンランド代表に選出されていたFWリク・リスキ(Riku Riski)が、カタールの人権をめぐる状況への抗議として、同国で行われている合宿への同行と、親善試合2試合の出場を辞退していたことが分かった。

 現在カタール・ドーハで冬季合宿を張っているフィンランドは、8日にスウェーデンと親善試合を行い、前半に挙げた1点を守り切って勝利したが、そこに代表戦20キャップ以上を刻んでいる29歳のFWの姿はなかった。本人が国内紙に語ったところによれば、カタール行きを良心が許さなかったという。

 リスキは国内紙「ヘルシンギン・サノマット(Helsingin Sanomat)」に「決断した理由は倫理観と価値観だ。僕はそれを貫きたい。それが重要だと感じた」と話し、マルック・カネルヴァ(Markku Kanerva)監督にも相談して決めたことだと明かした。リスキは主に、カタールの人権問題や、2022年W杯(2022 World Cup)関連の建設現場で働く労働者の不当な扱いに心を痛めている。

 スウェーデン戦を終えた監督も、話し合いの場をもったことを認めた。「少し驚いたが、彼とはじっくり話し、理由の説明があったから受け入れた」と話した監督は、他の選手からは同じような声は上がっていないと明かしつつ、カタールで練習と試合を行うという判断がフィンランド国内で物議を醸していると続け、「メディアには、試合についても何か書いてもらえるとうれしい」とコメントした。

 カタールは以前から、人権違反とW杯に向けたインフラ整備にあたっている出稼ぎ労働者の劣悪な労働環境が厳しく批判されている。政府は改善を約束しているが、人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は昨年11月、搾取や賃金未払いは続いていると発表した。(c)AFP