【1月8日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)の元選手で、現在はトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の首席顧問を務めるヒド・ターコルー(Hedo Turkoglu)氏は7日、ニューヨーク・ニックス(New York Knicks)に所属するトルコ人センターのエネス・カンター(Enes Kanter)が母国に命を狙われていると発言したことについて、「政治的中傷」であると強く非難した。

 以前からエルドアン大統領を「あの頭のおかしな異常者」と批判していたカンターは先日、トルコのスパイに殺される恐れがあるとして、今月17日に英ロンドンで予定されているミルウォーキー・バックス(Milwaukee Bucks)戦に同行しないことを明らかにした。

「行ったら殺される可能性がある。向こうにはスパイが大勢いる。俺を殺すくらい簡単だ」「自分のキャリア、バスケットボールに影響が出ることがすごく悲しい。本当は行きたいのに、あの頭のおかしな野郎、たった1人の異常者のせいで向こうへ行って仕事ができないんだ」

 2000年から2015年までNBAで6球団を渡り歩いたターコルー氏は、カンターの発言は「妄想」であると主張すると、旅券が2017年5月にトルコ大使館から取り消されているカンターが遠征できないのは、ビザの問題であるというニックスの発表を引き合いに出した。

 ターコルー氏はツイッター(Twitter)に、「言い換えれば、カンターが英国に入国できないのは命の危険があるからではなく、パスポートとビザの問題があるからだ。これはずっと前から知られている事実であり、彼は訳の分からない理由や政治的発言で、注目を浴びようとしている」と投稿した。

「今回の発言も、これまでのようにトルコを中傷しようとする政治的活動の一環であり、スポーツのキャリアで抱える矛盾をごまかして、自分の存在を必死にアピールしようとしているだけだ」

「カンターは、法治国家であるトルコ共和国をターゲットにしただけでなく、彼は英国の治安部隊を弱いと発言し、トルコと英国の関係をも阻害しようとしている。この男の発言が筋の通らないもので、真実をゆがめていることは明白だ」

 これに対して、カンターもツイッターに詳細な部分は隠した状態のパスポートを公開し、「ビザの問題ではない。俺がロンドンに行くことは可能だ」「あんたが妄想しているか、今もエルドアンの飼い犬だということだ。そのままずっと尻尾を振ってろよ」とターコルー氏に猛反発した。

 トルコの地元メディアによると、2017年12月に同国検察当局はエルドアン大統領を侮辱した罪で、カンターに禁錮4年以上の刑を科そうとしていたとされている。スイス生まれで、2011年のNBAドラフトで全体3巡目指名を受けた同選手は、エルドアン大統領の政敵フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師への支持を以前から表明している。(c)AFP