【1月7日 AFP】バグパイプに打楽器、そして、たばこを吸う子どもたち──ポルトガルのある村では、よそでは驚かれるようなしきたりで、地元住民がキリスト教の祝日「公現祭(Epiphany)」を祝う。

 同国北東部のケルト文化圏にある人口約200人の村、バーレデサルゲイロ(Vale de Salgueiro)では、何世代にもわたりこうした方法で公現祭を祝ってきた。この2日間、親は自分の子にたばこを吸うよう促すが、中には5歳児さえいる。

 この風習の起源の全容は明らかになっていない。カルロス・カダベス(Carlos Cadavez)村長は「いつ、どのようにしてこの風習が始まったのかは分からない」「101歳の村民によると、彼女の親の代からすでにこんな感じだったようだ」と話した。村長はさらに「最初は、青年期に近づいた少年たちの脱皮を祝うことと関連があったと思う」と説明した。

 この風習に関する本を執筆したジャーナリストのホセ・リベイリーニャ(Jose Ribeirinha)さんは「村の人々は、たばこが健康に害を及ぼすことは分かっている」「単なる通過儀礼なのだ」と述べる。リベイリーニャさんの父親もこの村の出身だ。

 風習をめぐっては、ここ15年ほど地元メディアで論争が展開されてきた。しかし、村の人々は外部の意見を認めまいと団結している。

 5歳から風習に従ってきたという母親(45)は、「私も子どもと同じ年齢から始めた」「毎年、1月5日と6日にはたばこを吸ったけれど、1年の他の日はまったく吸わなかった」と振り返る。そして「風習がここにある、昔からずっとある。そういうものでしょう」と話した。(c)AFP/Thomas CABRAL