【1月6日 AFP】アフリカ東部タンザニアのジョン・マグフリ(John Magufuli)大統領は4日、閣僚らを前に演説し、難民危機を「利用」し国際援助団体に食糧を売って稼ぐよう求めた。NGO「ノルウェー難民評議会(NRC)」によると、タンザニア国内にはブルンジやコンゴ民主共和国などから逃れてきた難民が約30万人が存在し、その大多数は北西部にある3つの難民キャンプで生活している。

 マグフリ氏は経済中心地ダルエスサラーム(Dar es Salaam)で行ったスワヒリ語の演説で、国連世界食糧計画(WFP)と約800万ユーロ(約9億9000万円)でトウモロコシ3万6000トンの売買契約を締結したと発表。マグフリ氏が「これらの資金は、紛争下にある国々から逃れてきた難民の友人たちの支援に充てられる。われわれの義務は、難民たちを利用することだ」と述べると、会場は笑いに包まれた。マグフリ氏はさらに「われわれは難民問題を利用せねばならない。彼ら(難民たち)は母国で戦う。われわれは金を稼ぐ」と続けた。

 こうした発言に、一部の閣僚やWFP代表からは冷笑や忍び笑いが起きた。これを受けてマグフリ氏は「彼らが戦うことを望んでいるという意味で言ったのではない。しかし、彼らが戦うならば、彼らの紛争はわれわれにとって利益の源となり得る」と釈明。「われわれが彼らに食料を提供しなくても彼らは戦う。私は彼らが戦うことを望んではいない。だが彼らが戦うなら、それを利用しようではないか」と明言した。

 唐突な発言で物議を醸すことで知られてきたマグフリ氏だが、国内で汚職撲滅に取り組み、国際社会から一目を置かれた。だが、その一方で、国際援助団体などはマグフリ氏が人権侵害を行っていると懸念を示し、批評家らも、マグフリ氏は2015年に大統領に就任してから厳しい取り締まりを開始し、野党やメディア、同性愛者らを弾圧していると批判している。(c)AFP