【1月1日 AFP】ポルトガルの陶磁器メーカー「ボルダロ・ピニェイロ(Bordallo Pinheiro)」は130年以上にわたってあらゆる種類の芸術的な陶器を生産してきた。一時は窮地に陥ったこともあったが、今またその事業は繁栄の時期を迎えている。

「アズレージョ」と呼ばれるポルトガル伝統の青いタイルから、果物の形をした色とりどりの食器類、動物の形をした花瓶やイワシ型をした陶器の飾り、ミック・ジャガー(Mick Jagger)やフランシスコ法王(Pope Francis)の人形まで──同社の工場は、ポルトガル陶磁器の愛好家にとっては天国だ。

 創業は1884年。首都リスボンから北へ1時間ほどのところにある町、 カルダスダライーニャ(Caldas da Rainha)の地に生まれた。

 ボルダロ・ピニェイロの注文帳は今またいっぱいだが、2009年に同国の企業グループ、ビザベイラ(Visabeira)に買収されたときには大違いだった。ビザベイラは同時に国際的に有名なもう一つのポルトガルの陶磁器ブランド、1824年創業の「ビスタ・アレグレ(Vista Alegre)」も買収し、同社の流通網を活用した。

 今、ボルダロ・ピニェイロは時代の波に乗っている。スペインから韓国、米国まで売上は急増し、増産のために数百万ドル規模の投資がある。中国とのし烈な競争で見通しが暗かった時期を思えば大転換だ。

 一時解雇や給与の遅配──同社で30年間働いてきたビクトル・フォルミガ(Victor Formiga)さん(56)は「厳しかった時期」のことをよく覚えている。「今はだいぶ良くなっている。事業が広がっていることを誇りに思うし、ずっと続いてほしいね」

 町のもっと中央にあるボルダロ・ピニェイロの元の社屋は現在、博物館と販売店舗になっている。