【12月23日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は先週、ナイジェリアで続く農民と牧畜民の衝突により、2016年以降に3600人超が死亡したと発表した。同団体は、同国政府が加害者を処罰しないため、暴力が激化していると非難している。

 アムネスティが17日に発表した報告によると、衝突による死者は18年のみで2000人を突破。数千人もの人々が家を失ったという。

 農民と牧畜民の間では、干ばつと人口の急増により希少になりつつある肥沃(ひよく)な土地と水利をめぐって、暴力沙汰が増加傾向にある。

 アムネスティは「ナイジェリア当局がコミュニティー間の衝突に対する捜査を怠り、加害者に法の裁きを受けさせていない状況が、全国各地での農民と牧畜民の争いに拍車をかけた。この結果、死者数は過去3年で少なくとも3641人に上り、居住地を追われた住民もさらに膨らんでいる」と説明。

 16年1月から18年10月までに起きた襲撃は310件で、うち57%は18年に発生しており、特にアダマワ(Adamawa)州とベヌエ(Benue)州、カドゥナ(Kaduna)州、タラバ(Taraba)州、プラトー(Plateau)州で頻発しているという。

 アムネスティはさらに、殺りくを阻止するため取り組みが不十分だとして同国の治安部隊を批判。「治安部隊はしばしば襲撃の現場近くに配置されているものの、また衝突が数日続く場合があるにもかかわらず、対応が遅い」と述べた。

 襲撃が差し迫っていることを警告されていたにもかかわらず、治安部隊は殺人や略奪、家屋の焼き討ちを防ぐ措置を全く取らなかった事例もあるという。(c)AFP