【12月20日 AFP】オーストラリアの大学で中国研究を専門とする講師が、香港を訪れた際に中国国営新聞の記者らに1週間にわたって付け回されたと主張している。同講師は、この脅迫的行為に中国当局が絡んでいる可能性があるという見方を示し、嫌がらせには屈しないと表明している。

 シドニーにあるマッコーリー大学(Macquarie University)のケビン・キャリコ(Kevin Carrico)講師は、今月香港を訪問中、中国語大衆紙「文匯報(Wen Wei Po)」の記者に後を付けられ、同紙の1面の「暴露記事」に書き立てられたと訴えている。

 同紙はキャリコ氏が香港で「秘密の会合」を開き、香港の「独立推進」の感情を扇動したとする記事を掲載。キャリコ氏の過去の訪問時に加え、今回の1週間の滞在中もずっと隠し撮りを続けていた。

 この問題を受けて、研究活動を含め香港における自由の衰退に関する懸念が広がっている。

 中国のナショナリズム(国家主義)をテーマにした論文を数多く執筆してきたキャリコ氏は19日、AFPに対し、文匯報がキャリコ氏本人や同氏が聞き取りを行う対象者を威圧しようとしていると非難。その動機は「特に純粋なものでもなければ、褒められるようなものでもない」と指摘した。

 キャリコ氏は、今後も香港行きを思いとどまることはないとしながらも、中国当局が香港政府に対し同氏の入境拒否を指示したり、取材対象から話を聞く機会が奪われたりする可能性を危惧。「文匯報は新聞を装った情報機関であり、廃止されるべきだ」と述べている。(c)AFP