【12月17日 AFP】列車がゴトゴトと音を立てて通り過ぎると、線路に素早く戻された手製のトロッコに、乗客たちが一斉に飛び乗ってくる。

 約1200万人が暮らすフィリピンのマニラ首都圏では、多くの通勤者が毎日「トロリーボーイ」と呼ばれる男性たちが押す人力の乗り合いトロッコを利用している。料金はたったの10ペソ(約20円)。渋滞に巻き込まれず時間もお金も節約できるが、列車と衝突する危険が常に付きまとう。

 当局は人気の高さから、渋々ながらトロッコの運行を見逃している。トロッコが走る1.2キロの区間には通勤列車が1日25本ほど走っているが、信じがたいことに事故はめったに起きない。統計はないが、警察は最後に事故が起きたのがいつか思い出せないほどだという。

 人々はインフラの整備が不十分で、公共交通機関が少なく、自動車の数が増え続けているため発生している大渋滞を避けるため、トロッコを利用する。トロリーボーイたちは、実入りがいい日には1日10ドル(約1130円)稼ぐこともある。(c)AFP/ Joshua MELVIN