【12月14日 AFP】ヨルダンで13日、所得増税に抗議する数千人規模のデモ隊が首都アンマンの首相府前に集結し、治安部隊が首相府を封鎖する騒ぎとなった。

 ヨルダン政府は公的債務の削減を掲げて緊縮政策を推進しているが、国際通貨基金(IMF)の勧告に基づく当初の税制改革法案は今年6月、高い失業率と物価上昇に苦しむ国民の猛反発を招いた。1週間続いた抗議デモを受け、ハニ・ムルキ(Hani al-Mulki)前首相は辞任。アブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)が法案の見直しを求める中、後任のオマル・ラッザーズ(Omar al-Razzaz)首相は法案の撤回を発表していた。

 しかし、ヨルダン議会は先月18日、税制改革改正法案を承認した。改正案でも、当初案に盛り込まれていた被雇用者の所得税を少なくとも5%、企業は20~40%増税する点に変更はない。

 ヨルダンではこの2週間に小規模なデモが相次ぎ、地元メディアによるとこれに関連して24人が拘束されている。

 天然資源が少ないヨルダンは対外援助に大きく依存しており、失業率は18.5%に達している。同国は湾岸地域の安定に不可欠とみなされており、抗議デモを受けてサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートの3か国は10月、総額25億ドル(約2800億円)の支援をヨルダン政府に提供した。(c)AFP