【12月5日 AFP】2月の平昌冬季五輪で銀メダルを獲得し、一躍脚光を浴びた韓国のカーリング女子チーム、通称「ニンニク少女」のコーチらが、パワハラや搾取を選手から告発されたことを受けて辞任した。

 選手の出身地がニンニクの産地だったことから、「ニンニク少女」の愛称が付いた韓国のカーリング女子チームは、五輪の開始当初はまったく期待されていなかったところから、決勝トーナメントへ勝ち進む快進撃を見せ、メディアの注目を集めた。活動資金が限られているチームが強敵を撃破していく姿に、それまで韓国ではマイナースポーツだったカーリングの人気は一気に高まった。

 ところが先月、その選手がコーチらを告発した。選手は言葉の暴力や、他のスポーツ選手や記者と話しただけで叱責されるなどの過度の締め付け、ファンレターやプレゼントを勝手に検査する行為があったと訴え、文化体育観光部と大韓体育会(KSOC)による調査が始まる事態にまで発展していた。

 選手が批判したのは、女子チームの金敏貞(Min-jung Kim、キム・ミンジョン)監督と、男子代表の監督を務めるその夫、そして大韓カーリング競技連盟(KCF)の元副会長である父親の金敬斗(キム・ギョンドゥ、Kyung-doo Kim)氏が、チームを私物化しようとしていることだった。

 こうした状況を受けて金敬斗氏は4日、選手とファンを「大きく失望させ、心配をかけた」ことを謝罪。3人全員がカーリング界から身を引くことを発表した。

 同氏は「私のつたない表現が、選手に大きな苦痛を与えたことを心から謝罪します」「現時点より、私を含めた家族はカーリングを離れます」とコメントし、現在も続いている当局の調査に「誠実に」協力すると話した。

「私のせいで、カーリングへの関心が途絶えてしまうことがないように願っています。選手がこれ以上は苦しまず、さらなる成長を遂げられるよう、心から祈ります」

 五輪では銀メダルを獲得した「ニンニク少女」だが、その後8月に行われた国内の選考会で敗退し、国際大会の出場権を逃している。現在は新たなコーチを探している。(c)AFP