【12月4日 AFP】カナダ環境・気候変動省の諮問機関「絶滅の危機に瀕(ひん)するカナダの野生生物の現状に関する委員会(COSEWIC)」は3日、海氷融解によりカナダに生息する最大の捕食動物であるホッキョクグマが獲物を確保するのが困難になり、広大な北極圏からいなくなる恐れがあると警告した。

 同委員会のグレアム・フォーブス(Graham Forbes)共同議長は声明で「深刻な環境変化が生息域全域に及んでいる」と指摘し、ホッキョクグマの監視を続けなければならないのは明白だと述べた。

 ホッキョクグマは海氷の上で氷上釣りと同じような方法でアザラシを捕らえるが、夏季の氷のない期間が長期化すれば獲物を捕らえるのは「さらに困難になる」と予想される。

 先住民イヌイット(Inuit)は、ホッキョクグマは環境変化に対応できるのではないかという慎重ながら楽観的な立場を取っている。最新のCOSEWICの報告書は科学的証拠とイヌイットの知識を交えた評価を行い、「現時点でホッキョクグマは絶滅の危機には瀕していないが、先の見えない状況に置かれている」と結論付けている。

 COSEWICは現在、ホッキョクグマを「特別な配慮を要する種」と分類している。これは将来、「絶滅の恐れのある種」や「絶滅危惧種」に分類される恐れがあることを示している。

 カナダには世界のホッキョクグマ総数の3分の2が集中しており、最新の調査(2011年)では国内に1万5500頭が確認された。(c)AFP