【11月30日 AFP】ノルウェー西部ベルゲン(Bergen)沖のフィヨルドで今月発生した同国海軍のフリゲート艦とマルタ船籍の石油タンカーの衝突事故について、ノルウェー事故調査委員会(AIBN)は29日、原因は主に人的要因だったとの見方を示し、現段階では技術的問題が原因である可能性を排除した。

 フリゲート艦ヘルゲ・イングスタッド(KNM Helge Ingstad)は今月8日早朝、北大西洋条約機構(NATO)主導の軍事演習トライデント・ジャンクチャー(Trident Juncture)からの帰還中にタンカーと衝突。同艦の乗組員137人のうち8人が軽傷を負った。

 事故調査委員会の担当者は記者会見で、事故原因に関する予備調査結果を発表し、「われわれの見解では、これは主に人的要因によるものだ」と述べた。発表によると、フリゲート艦の乗組員はタンカーを陸地と誤認したものとみられる。タンカーの航海灯と、同船が出発した石油ターミナルのライトが入り混じっていたため、タンカーの航海灯を視認できなかったという。

 フリゲート艦側の人的ミスはこれだけではない。衝突を避けるため面かじをとって右に旋回してほしいと要請するタンカーからの無線通信を、離れた別の船からのものと思い込み無視していた。事故調査委員会は「事故原因は単独の行動や事象ではない。この事故は一連の複合した要因・状況によって説明することができる」と述べた。

 フリゲート艦はほぼ完全に水没しており、当局が引き揚げを試みている。(c)AFP