【11月24日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は22日夜、同組織が「西アフリカ州」と呼ぶナイジェリア北東部で先週、118人を殺害したと発表した。同地域では軍事基地に対する攻撃が相次いでおり、再び勢力を強めるイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」への懸念が高まっている。

 過激主義的な動向を監視する米テロ組織監視団体「SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)」によると、ISはオンラインに投稿した動画で、チャドとナイジェリアで今月15~21日、5つの軍事作戦を実行したと発表した。

 これ以上の詳細は明らかにされなかったが、9年間にわたる紛争の中心地となっているナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州では最近、軍事基地に対する攻撃が相次いでいた。

 治安筋は、ニジェール国境に近いメテレ(Metele)村で今月18日に起きた最近の攻撃で少なくとも兵士44人が死亡したとしているが、現場から生還した兵士は、死者はもっと多かったと証言している。

 この兵士は23日、ボルノ州の州都マイドゥグリ(Maiduguri)で匿名を条件に取材に応じ、「本当は100人以上が死亡した。われわれはあっという間に総崩れになったからだ」「われわれは兵力で圧倒されていた。そのため、戦おうとしたが無理だと悟り撤退を決断した」と述べた。

 モダンセキュリティーコンサルタントグループ(Modern Security Consulting Group)のテロ対策専門家、ヤン・サンピエール(Yan St-Pierre)氏によると、最近の攻撃の激しさと頻度は、ボコ・ハラム内の一派「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」が今や、「戦闘を継続する能力」を有し、「多数の戦闘員と物資」を自由に使えることを示唆している。

 ボコ・ハラムは2016年半ば、指導者アブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者の一派とISWAPの2つに分裂。シェカウ容疑者はISに忠誠を誓っていたが、ISはISWAPの方を支援している。

 ISWAPは別の地域のIS残党から支援を受けているのかとの質問にサンピエール氏は「疑いない」と答え、「ISWAPはナイジェリアやチャド、ニジェールで軍事目標や外国目標に対する攻撃の頻度を増やしているほか、カメルーンでも存在感を強めている」と付け加えた。

 さらに、こうした事実は「ISWAPが複数の地域で攻撃計画を成功させる能力と機動力を有するだけでなく、同組織の関心が(サヘル)地域全体に向いていることも示している」と指摘した。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD, with Aminu ABUBAKAR in Kano