【11月16日 AFP】ミャンマーに生息するウミガメの赤ちゃんには、ふ化直後に大きな危険が待ち受けている。海岸から海までたどり着くまでの間にカニの餌食になることもあれば、密漁者やトロール船によって命を絶たれることもある。

 ミャンマーの海域には、絶滅の危機にあるタイマイ、アオウミガメ、ヒメウミガメ、オサガメ、アカウミガメの5種のウミガメが生息する。

 ウミガメは、後ろ足で掘った穴の中に約100個の卵を産み、その上に砂をかぶせてから海に戻っていく。ウミガメの保護区内であっても、密漁の危険から逃れることはできない。ウミガメの卵は、鶏卵の約10倍にあたる1個1ドル(約113円)で売れる。

 エーヤワディーデルタ(Ayeyarwaddy Delta)のタミーラ島(Thameehla Island)で主任レンジャーを務めるフォン・マウ(Phone Maw)さん(56)と同僚たちは、新たに産み落とされた卵をいったん掘り起こし、保護区に埋め直す。

 50~60日後にふ化すると、レンジャーたちは子ガメを海岸や海に放すが、そこにはさまざまな天敵が待っている。AFPの取材班も、赤いカニの群れがふ化したばかりの子ガメを何匹か引きずっていく様子を目撃した。

 だが、ウミガメ個体数減少の最大の原因は、トロール漁船の網だ。ウミガメは海面から顔を出して呼吸をするが、網に絡まると海面に浮上することができない。違法なダイナマイト漁やしゅんせつ船も、ウミガメが死ぬ原因となっている。また、海洋汚染の影響も深刻だ。

 フォンさんによると、ふ化してから成獣になるまで生き延びられるのは、1000匹中わずか2匹だという。

 映像は、タミーラ島でビーチに放される子ガメ。10月18~20日撮影。(c)AFP