【11月8日 AFP】イエス・キリスト(Jesus Christ)ゆかりの地として知られるイスラエルの都市ナザレ(Nazareth)としょっちゅう混同され、閉口した近隣の町ナザレ・イリト(Nazareth Illit)が、市名の変更に動き出した。

 ナザレ・イリトは、世界的に有名なナザレからわずか3キロ、車なら10分の距離にある。市の広報担当者は7日、「住民は、観光客など多くの人々が地元をナザレの一部だと誤解している現状にうんざりしている」とAFPに語った。

 市名変更を積極的に推進しているのは、ローネン・プロット(Ronen Plot)市長だ。ニュースサイト「Yネット(Ynet)」によると、市長は「ナザレを目指す外国人が私のオフィスに来てしまう事態は、今年のクリスマスで終わりにする」と述べたという。

 ヘブライ語で「ナザレの上方」を意味するナザレ・イリトは62年前、イスラエル建国から間もない1950年代に誕生した新興都市。ナザレと名前の一部を共有しているだけで、全く別の都市だ。

 ナザレはイスラエル有数のアラブ系住民の多い町で、人口7万5000人のほとんどがイスラム教徒かキリスト教徒。聖母マリアが大天使ガブリエル(Archangel Gabriel)から受胎告知を受けた地として、またイエス・キリストが育った町として、キリスト教徒の信仰を集めており毎年多くの巡礼者が訪れる。

 一方、ナザレ・イリトは人口5万1000人の大半がユダヤ人かロシア系住民で、主に経済発展の目覚ましいことで知られている。

 有名な近隣都市の影から抜け出したい──プロット市長は、今月21日に市議会に市名変更を提案する予定だ。その後、住民も参加する検討委員会を設立して新市名を募集する計画だという。(c)AFP