【10月30日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の最初の妻は旧チェコスロバキア出身のイバナ・ゼルニーチコバー(Ivana Zelnickova)さんだが、トランプ氏が1978年にイバナさんと結婚した後、共産主義体制下のチェコスロバキア情報当局がひそかにトランプ氏に関する情報を収集し報告書にまとめていたと、チェコ週刊誌「レスペクト(Respekt)」が報じた。

 トランプ氏はスキー選手でモデルだったイバナさんと1978年に結婚。二人は長男ドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏、長女イヴァンカ(Ivanka Trump)氏、次男エリック(Eric Trump)氏をもうけたが、1992年に離婚した。イバナさんは後にビジネスの方面でも活躍している。

 英紙ガーディアン(Guardian)との共同取材によるレスペクトの記事によると、旧チェコスロバキア秘密警察「StB」の元責任者は同誌に「トランプ一家はわれわれの監視対象だった」と明かし、「トランプ氏が影響力を持った人物であることは認識していた。彼は米国の大統領になりたいという野望を隠さなかった。われわれは彼に関心を持ち、彼についてもっと知ろうとした」と語っている。StBは1990年に崩壊した旧ソ連の情報当局と密接な協力関係にあった。

 トランプ氏が大統領選への立候補を考え始めたのは1986年とみられる。だが当時41歳だったトランプ氏は、まだ若すぎると判断し出馬を断念したという。

 StBは当時のトランプ氏について「大統領選に立候補して米国史上、例を見ない存在になることを望み、政治的に独立した大統領になろうとしている。民主党も共和党もトランプ氏を引き込もうとしているが、同氏はどちらにも属していない」と報告。さらに報告書には「とっぴな空想のようではあるが、ドナルド・トランプは自身の成功を確信している」と付け加えられている。

 チェコスロバキアの共産主義体制は1989年、無血民主革命「ビロード革命」によって崩壊した。(c)AFP