【10月29日 AFP】ドイツ中部ヘッセン(Hesse)州議会選が28日に投開票され、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる連立与党は、鍵となる地方選で2度目となる敗北を喫した。メルケル氏の脆弱(ぜいじゃく)な連立体制の先行きにさらなる暗雲が垂れ込めている。

 2015年から100万人以上の移民や難民を受け入れたことで強い反発を招き、弱体化しているメルケル氏の第4次政権は、今年の連立発足以降相次ぐ危機に見舞われている。

 公共放送ARDが実施したヘッセン州議会選の出口調査によると、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は2013年と比べて10ポイント以上減の27.4%となったが、第一党の座は辛うじて守った。

 また国政で連立を組む社会民主党(SPD)も、前回に比べて11ポイント以上低い19.6%となり、19.5%と約倍増させた緑の党とほぼ同率2位となった。

 メルケル政権の移民政策への反発が追い風となり、昨年初めて連邦議会入りを果たした反移民の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、16州の全ての議会で議席を獲得した。

 地方選での敗北が続いているSPDは、昨年には国政選挙でも、1949年のドイツ連邦共和国成立以来最低の得票率となった。

 同党のアンドレア・ナーレス(Andrea Nahles)党首は28日、「政府の現状は容認できない」と述べて、CDUに国民の利益にかなう明確で拘束力のある行程表に同意するよう求め、メルケル首相からの譲歩がなければ連立離脱も辞さない構えを示した。(c)AFP/Tom BARFIELD