【10月25日 AFP】米大リーグ(MLB)、セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)のヤディアー・モリーナ(Yadier Molina)捕手が24日、ハリケーン「マリア(Maria)」の被害に遭った故郷プエルトリコの復興に貢献したことが認められ、ロベルト・クレメンテ賞(Roberto Clemente Award)を受賞した。

 カージナルス一筋で15年プレーしているモリーナは、2度のワールドシリーズ優勝を経験しているほか、2013年と2017年のワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball ClassicWBC)でプエルトリコ代表を準優勝に導いた実績を持つ。今回は募金活動をし、ハリケーンによる被害を受けたプエルトリコの復興に協力したことが評価され、受賞に至った。

 モリーナは米スポーツ専門チャンネルESPNに対し「私たちは現在もプエルトリコへの支援を行っている」と話し、「今回の受賞が、プエルトリコにはいまだに助けを必要としている人が多くいるということを人々が気づくきっかけになればうれしい」と続けた。

「屋根がなくなった家は多い。家を失った人もたくさんいる。水がない人もいる。私たちは、いまだにたくさんの助けを必要としている」

 この賞は、1972年にニカラグアで発生した地震の被災者に物資を届けようと飛行機に乗るも、墜落事故で亡くなったプエルトリコ出身のスター選手、ロベルト・クレメンテ(Roberto Clemente)氏の名にちなんで設立された。同賞は毎年、「フィールドの内外で優れた人格や地域活動、慈善事業、積極的な社会貢献を通して」野球界を代表し、「他者を助けることの価値を心から理解している」選手に贈られている。

 モリーナは2010年、貧困や虐待、がんなどの問題を抱えている子どもを支援する基金を設立。故郷バヤモン(Bayamon)で、虐待を受けた子どものための隠れ家や児童向けのがん治療施設、小児科に資金を提供した。

 マリアが直撃した2日後、深刻な状況にあったプエルトリコに戻ったモリーナは、食料や水などを配るために2週間かけて街を歩き回ったほか、木やがれきで通れなくなった高速道路の再開に手を貸し、プエルトリコで最も被害の大きかった地域にある家の修復を援助した。

 モリーナはカージナルスのウェブサイトの中で「プエルトリコに着いた際に、あのような光景を目にすることになるとは考えもしなかったし、想像したこともなかった」「到着してすぐ、すべてが破壊されているのが分かった。信じられない光景だった。山はなくなり、木も消えていた。電力も失われ、たくさんの助けを必要としていた。ショックだった」とコメントしている。(c)AFP/Jim SLATER