【10月22日 AFP】(写真追加)台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は22日、北東部の宜蘭(Yilan)県で前日起きた特急列車脱線事故の現場を視察し、事故原因の迅速な究明を指示した。台湾の鉄道事故としては27年ぶり最悪の被害となった今回の事故では、これまでに18人が死亡、187人が負傷している。

 東海岸を台東(Taitung)へ向かっていた特急「普悠瑪(プユマ、Puyuma)」号は21日午後4時50分(日本時間同日午後5時50分)ごろ、新馬(Xinma)駅付近で8両編成の全車両が脱線し、うち5両がジグザグに折り重なるように横転した。

 交通部(省)によると、最年少の犠牲者は9歳。また、台東の中学校に通う12歳と13歳の生徒も死亡したという。当局発表によれば、22日現在もまだ複数の乗客の行方が分かっておらず、捜索が続けられている。

 新馬駅で取材に応じた蔡氏は、「誰もが事故原因を心配している。状況と事故原因を迅速に究明するよう当局に求めた」と記者団に語り、「この難局に当たり、負傷者のために祈り、犠牲者の安らかな眠りを願おう」と呼び掛けた。

 台湾のテレビ局が放映した脱線事故直後の映像には、乗客たちが窓を割り、蹴り破るなどして脱出する様子が捉えられている。生存者の証言によれば、事故を起こした特急列車は走行中に車体が激しく揺れ、横転する前には「非常に速い」スピードが出ていたという。

 また乗客の女性は報道陣に「列車は2回停止し、問題が発生したため修理が必要だとの車内アナウンスが流れた。でも、それから間もなく走行を再開した」と証言した。この女性によると「スピードが出過ぎていると感じた。そうしたら衝撃音がして(座席から)飛ばされた」という。当時、車内の乗客の多くは眠っていたという。

 台湾では1991年に中部・苗栗(Miaoli)県で列車2台が衝突して30人が死亡、112人が負傷する事故が起きているが、今回の事故はそれに次ぐ最悪の被害規模となっている。(c)AFP