【10月9日 AFP】日本・メコン地域諸国首脳会議に参加するため来日しているミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問は8日、都内で企業関係者向けに講演を行い、ミャンマーへの投資を呼び掛けるとともに、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)をめぐる問題について政府として透明性を高めていくと表明した。

 かつて民主化運動の象徴として世界的な称賛を集めたスー・チー氏だが、ミャンマーのラカイン(Rakhine)州で起きた政府軍によるロヒンギャ弾圧については発言を控えるなどしたため、瞬く間に過去の名声を失った。

 日本の企業家らを前にスー・チー氏はラカイン州について言及し、ミャンマーが平和的な解決を目指す取り組みにおいて困難に直面していると認める用意があると発言。また「こうした事実を私たちの友人に隠すつもりはない。私たちは友人たちと率直で透明な関係でありたい」と述べ、「心配なことがあれば、私たちに率直に話してほしい」と語った。

 昨年ミャンマーで始まった政府軍によるロヒンギャに対する大規模弾圧により、70万人を超えるロヒンギャが隣国バングラデシュへと避難。だが、バングラデシュ・ミャンマー両政府の間で帰還に関する合意が結ばれたにもかかわらず、ロヒンギャたちは報復を恐れ、狭い避難所での難民生活を続けている。

 スー・チー氏の支持者らは、軍が依然として議会で4分の1の議席を占め、三つの官庁で実権を握っているために同氏は身動きがとれないのだと擁護している。

 スー・チー氏は9日午後、安倍晋三(Shinzo Abe)首相と会談する。(c)AFP