【10月1日 AFP】(更新)北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をめぐり、米国とカナダが9月30日夜、合意に達した。両国政府が発表した。米国とメキシコは8月末に既に合意済みで、3か国による枠組みを維持することで交渉が妥結した。新協定は「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に名称を変更する。

 発効から24年になるNAFTAをめぐっては、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が不満を表明したことを受けて1年余り前から再交渉の協議が続けられていた。

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表とカナダのクリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相は、新協定について「より自由な市場、より公正な貿易、力強い経済成長を北米地域にもたらす」と共同声明で発表した。

 1年以上に及ぶ交渉と6週間にわたる集中協議の末、両政府は主張が対立していた幾つかの分野で互いに譲歩。その上で、年間貿易額約1兆ドル(約114兆円)に上る北米地域に暮らす5億人の市民にとって望ましい協定だと合意内容を歓迎した。

 メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領は12月1日に任期を終えるが、米国内法では協定に署名する60日前までに協定文書を議会に提出しなければならないため、米国とカナダは詰めの協議を急いでいた。カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は30日午後10時(日本時間1日午前11時)、米議会への文書提出期限の2時間前に緊急閣議を開催。両国が合意に至ったことで、ペニャニエト大統領の退任前に3か国間で新協定の署名にこぎつけることが可能となった。

 今回の合意では、カナダが乳製品市場を米国に解放する一方、米国はカナダ側が要求した加盟国間の紛争解決制度を維持することを認めた。

 両国はまた、労働者の保護や環境規制の強化、貿易関係にデジタル経済を含めること、「革新的な」知的財産保護を提供していくことでも合意。また、為替誘導など貿易規定の「改ざん」を防ぐための条項や、関税が撤廃された市場の恩恵を域外国が利用するのを制限する規則も盛り込まれた。

 トランプ大統領が25%の追加関税を課すと圧力をかけ、交渉の焦点となっていた自動車分野については、メキシコとカナダへの追加関税措置は新協定の下で回避される見通しだ。だが、商務省の担当する鉄鋼・アルミニウムへの高関税措置については、関係者が別件扱いとしており、保留のままとなっている。(c)AFP/Heather SCOTT