【9月5日 AFP】ロシア軍は4日、シリア北西部イドリブ(Idlib)県に対する空爆を再開し、子ども5人を含む民間人少なくとも9人が死亡、10人が負傷した。在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」が明らかにした。反体制派の最後の主要拠点である同県に対しては、シリア政権軍が近く攻撃を実施するとの観測が強まっている。

 イドリブ県への攻撃を回避するため、反体制派を支援するトルコはシリアの同盟国ロシアと協議を重ねてきた。だがシリア政権側は同県近郊に部隊を集結させている。

 イドリブ県に総攻撃が行われれば、同県に暮らすとされる約250万人が壊滅的な被害を受けることになる。住民の多くは、政権軍に制圧された他地域からバスで同県に退避してきた、反体制派の戦闘員や民間人だ。

 国連(UN)は4日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領に対し、イドリブ県が「血の海」と化すのを回避するため、新たな協議を行うよう要請した。

 この要請に先立ち、シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は、ロシア軍がイドリブ県への空爆を22日ぶりに再開したと述べた。シリア国内に情報源を有する同監視団の発表によると、この攻撃で同じ家族の子ども5人を含む民間人9人が死亡、10人が負傷したという。

 2015年9月以降、シリアでの攻撃を続けているロシアのドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は4日、イドリブ県を「テロの孤立地帯」と呼び、「われわれはシリア政権軍がこの問題の解決に向け準備を整えつつあると理解している」と述べた。(c)AFP