【8月29日 AFP】米国で昨年、性感染症(STD)と診断された症例数が過去最高の約230万件を記録した。米疾病対策センター(CDC)が28日発表した。

 2017年にクラミジアや淋病、梅毒などの性感染症と診断された症例は、それまでの最高だった前年より20万件超も上回る230万件近くに上った。急増の理由については現時点では不明だが、CDCでは過去の調査に基づき、貧困や差別、薬物使用などの要因が感染率を高めると指摘している。

 感染病別では、梅毒は3万644件で、2013年から76%増。17年の診断数のうち70%を、男性の同性愛者が占めていた。

 また淋病は、同期間で67%増の55万5608件。増加が目立ったのはやはり同性愛者の男性で倍増している。また女性は2016~17年の1年間だけで、19万7499件から23万2587件へと急増しており、同じく懸念される。

 17年のクラミジアの診断数は170万件を超えたが、これは例年並みで、診断数の半分に近い45%が15~24歳の女性だった。

 CDCで、STD(性感染症)や結核などの感染症予防を目的とする部局のトップ、ジョナサン・マーミン(Jonathan Mermin)氏は「事態は後退している」と述べ、性感染症を診断・治療・予防するシステムが限界寸前に達しているのは明らかだ」と述べた。

 クラミジアや淋病、梅毒は抗生物質で治療することが可能だが、診断を受けず治療されないままとなることも多く、そうした場合には不妊や子宮外妊娠、死産などが起きる恐れがあったり、HIVの感染リスクが高まったりする。

 また公衆衛生の専門家の間では、抗生物質への耐性がある淋病への懸念も高まっている。(c)AFP