「記憶に留めておく一枚の報道写真」

人が家族と食卓を共にするには。現在世界のあらゆるところで紛争や事件が起きている。その中でいったいどれくらいの人が家族や友人と楽しく食卓を囲むことができているのか。私がこの写真を選んだ理由はここにある。平和とはなにか、平和を構築するとはどういうことか、考えた末に私が出した答えは、家族や友人と楽しく食事をすること、それが平和な世界なのではないか。紛争地域では食事さえままならない状態である、一方日本など先進国と呼ばれている国々であっても家族と食事を楽しむ機会は少なってきているように感じる。食事をたのしむことができる日常を取り戻すためだれがどのように働きかけなければならないのかーーミクロな視点からの平和構築をも考えて行きたい。


明治大学 井手ひかる 平和構築セクション

■平和構築セクション 部門賞
[講評] 野末俊比古(青山学院大学教育人間科学部教授)

平和とは何かについて考えに考えて、楽しく食事を取ることだという答えを見出し、食事を写した数ある写真のなかから、労働者が昼食を取るこの風景を、おそらく悩みながら選んだ様子が文章からしっかりと伝わってきます。「平和」というテーマを自身ならではの視点でとらえようとした姿勢は高く評価できるでしょう。