【8月29日 AFP】イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)のジャマルさん(仮名、20)は、バングラデシュの難民キャンプで、れんがを運ぶ仕事をしている。1年前、ミャンマーで襲撃された際に銃撃されて片手を失ったため、重いれんがを運ぶことは容易ではない。

 だがジャマルさんは、ミャンマー軍の弾圧から逃れて来た大勢のロヒンギャの人々と同じように、ここで人生を立て直そうとしている。この世界最大の難民キャンプで暮らしているのは、国籍のない人々約100万人だ。

「れんが運び仕事を頑張っているが、片手がないので大変だ」と、失った右手の手首にチェック柄のスカーフを被せながらAFPの取材に応じたジャマルさん。もうすぐ父親になるという彼は、「少しでもお金を稼いで家族を支えたい。(働くのは)気分がいい」と続けた。

 コックスバザール(Cox’s Bazar)の難民キャンプでは最近、小規模のビジネスや露店を始める人、仕事に就く人が増えてきた。それに伴って、ここにある数多くの粗末な建物には定住の雰囲気さえ見え始めた。

 昨年8月、バングラデシュにロヒンギャ難民が押し寄せた際、キャンプは今にも壊れそうな小屋と悪臭を放つトイレであふれかえっていた。しかしあれから1年が過ぎ、今では小屋もトイレも頑丈なつくりのものとなり、道路は舗装された。排水設備もある。

 言葉には表せないほどの恐怖を体験し、ミャンマーのラカイン(Rakhine)州から逃れてきたロヒンギャの人々にとって、こうした改修作業や生活インフラの整備は、仕事の機会と新たな目的意識を生むものとなっているのだ。