【8月1日 AFP】シンガポールで昨年、高齢者の自殺者数が過去最多となったことが分かった。同国の慈善団体が先月30日に発表した。高齢化が急速に進展する中、同団体は60歳以上の高齢者に対する支援を強化するよう求めている。

 主に自殺防止に取り組む慈善団体「シンガポールのサマリア人(SOS)」によれば、家族の重荷になることへの不安や、社会的孤立、身体の衰えやメンタルヘルスの悪化が、高齢者の直面する最も一般的な問題だという。

 出生率の低下と寿命の伸長が続くシンガポールは、刻々と進み「人口学の時限爆弾」と評される、急速な人口高齢化の問題に取り組んでいる。

 SOSがウェブサイトで発表した声明によると、60歳以上の自殺者数は昨年、129人に上り、統計を開始して以来最多となった。この数は昨年の全自殺者数の36%近くを占めるという。

 SOSのクリスティーヌ・ウォン(Christine Wong)事務局長は、「苦痛や苦労を終わらせる唯一の選択肢として、多くの高齢者が自殺に頼っていることは非常に憂慮すべきことだ」と指摘。

 ウォン氏はさらに「シンガポールの人口高齢化は、現在利用できる社会的な支援サービスにさらなる困難をもたらす。一人暮らしの高齢者が増加し続ける中、支援ネットワークを緊急に強化する必要がある」と述べた。

 公式推計によると、2016年には50万人だった65歳以上の人口は、2030年には約2倍の90万人に増加するという。(c)AFP