【7月27日 AFP】バルト海(Baltic Sea)に面した小国エストニアで、公共交通機関のバス利用が全国規模で無料化された。地方の過疎化と化石燃料の消費を抑制するのが目的だが、全国的な無料化は欧州でも初めて。

 カドリ・シムソン(Kadri Simson)経済・社会基盤相は26日、「公共交通機関が無料の都市や地域は欧州にいくつもあるが、全国規模での無料化は前例がない」とAFPの取材に語った。

 今月から地域バス路線の無料化が始まったのは、エストニア全15州のうち11州。

 シムソン氏によると、今回の無料化は中央政府と州政府との協議で実現に至った。「地方をいかに活性化し、都市部への流出をどうやって食い止めるかを検討してきた」という。

「全国規模での無料バス運行は、第一に、地方に暮らす人々に移動手段の選択肢を用意し、生活関連サービスを利用できるよう保証するのが目的だ」とシムソン氏は説明。同時に、無料化プログラムはエストニアが欧州連合(EU)の温室効果ガス削減目標を達成するための一助としても計画されたと付け加えた。

 首都タリンでは2013年に公共バスを無料化したが、市民を対象に昨年実施された満足度調査によると、市内の公共交通機関の利用者の半数が、無料化後に公共交通機関を利用する頻度が上がったと答えた。(c)AFP