【7月23日 AFP】トルコにルーツを持つサッカードイツ代表のメスト・エジル(Mesut Ozil)が「人種差別的な扱い」を理由に代表から引退したことを受け、トルコでは23日、一部の閣僚が「ファシズムウイルスに対するゴールだ」と述べるなど、同選手が下した決断を温かく迎えている。

 ドイツのトルコ系家庭に生まれたエジルはW杯ロシア大会(2018 World Cup)開幕直前の5月、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と並んで写真を撮影したことで、ドイツ代表に対する忠誠心が疑問視されるなど物議を醸し、批判を受けた。

 22日になって数週間の沈黙を破ったエジルは、自身に対する扱いが「人種差別的であり、敬意を欠いていた」とし、今後は代表チームでプレーしないと述べた。同選手はドイツサッカー連盟(DFB)の上層部からエルドアン大統領との写真撮影について厳しく批判されたほか、W杯におけるチームの失敗についてもドイツ国内で非難されていた。

 トルコのアブドゥルハミト・ギュル(Abdulhamit Gul)法相はツイッター(Twitter)で「代表チームを去るという、ファシズムウイルスに対して最も美しいゴールを決めたエジルを祝福する」とコメント。またメフメト・ムハッレム・カサップオール(Mehmet Muharrem Kasapoglu)青年スポーツ相も、笑顔のエジルと大統領が一緒に写った写真をギュル法相と同様に投稿し、「われわれの仲間であるエジルが示してくれた尊敬すべき態度を心から支援する」と付け加えた。

 エジルが代表チームからの引退を発表する直前、イブラヒム・カルン(Ibrahim Kalin)大統領報道官はツイートの中で、エジルが大統領との会合について弁解を余儀なくされたことを受け、「寛容であること、そして多文化主義を主張する人たちが気の毒だ!」とつづっていた。(c)AFP