【7月20日 AFP】シリアの複数の反体制派がイスラエル占領下にあるゴラン高原(Golan Heights)と接する緩衝地帯からの撤退に同意した。在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」と反体制派筋が19日、明らかにした。シリア政府は反体制派に奪われていた重要地域を着々と取り戻している。

 19日朝には別の合意に従い、シリア北部で強硬な反体制派が長期間包囲してきた2つの政権側の町から住民数千人も避難した。2つの合意はともにロシアが仲介したもので、7年にわたる反体制派の蜂起で一時は政権を脅かされたバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の勝利だとみなされるだろう。

 今月に入りシリア政権軍は、軍事力の行使と交渉によって反体制派を降伏させ、2011年にアサド政権に対する最初の抗議行動が起きた南部ダルアー(Daraa)県の90%以上を掌握した。その後、政権軍はダルアー県の西隣で、イスラエル占領下のゴラン高原との緩衝地帯となっているクネイトラ(Quneitra)県の反体制派に対して集中爆撃を開始した。

 イスラエル軍は「シリア南部で生じている事態を慎重に監視し、シリア人避難民に対する人道支援物資の配給を含め、さまざまなシナリオに対応できるよう備えている」と述べた。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争でゴラン高原の約1200平方キロをシリアから占領。1981年に併合を宣言したが国際的には認められていない。イスラエルはこの地域の安全保障を最優先事項に挙げており、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は今月ロシア・モスクワで行われたウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との会談でも協議した。(c)AFP/Rouba El Husseini with Omar Haj Kadour in Al-Eis