【7月20日 AFP】2014年ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルで銅メダルを獲得したカザフスタンのデニス・テン(Denis Ten)さん(25)が19日、刃物で刺され、死亡した。カザフスタンの文化・スポーツ省がAFPに明かした。

 同省の広報によると、刃物で襲われたテンさんは3リットルの出血をし、医師らは懸命に救命措置を施したが、病院で亡くなった。テンさんは右太ももを刺されたと伝えられており、それが大量の出血につながったとみられる。またロシア通信(RIA)は警察の話として、テンさんは自身の車からミラーを盗もうとしていた2人組の暴漢に刺されたと報じている。

 訃報を受け、国際スケート連盟(ISU)もツイッター(Twitter)でコメントを発表し、「悲しみに暮れている」と投稿。ソーシャルメディア上では捜査を求める声が上がっているほか、今回の事件に対して悲しみと怒りの声が噴出している。

 過去にテンさんを指導したロシアを代表するコーチのタチアナ・タラソワ(Tatiana Tarasova)氏は、ロシア通信の取材に答え、かつての教え子が病院で治療を受けている間、テンさんの母親と話をしたことを明かし、「何という悪夢なのだろう。悲劇としか言いようがない」とコメントしている。

 韓国独立の戦士として名高い閔肯鎬(ミン・グンホ、Min Keung Ho)の子孫にあたる韓国系のテンさんは、2013年と2015年の世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)でそれぞれ銀メダルと銅メダルを獲得し、ソウルで行われた2015年の四大陸選手権(ISU Four Continents Figure Skating Championships 2015)では金メダルに輝いた。(c)AFP