【7月10日 AFP】米ニューヨーク郊外に住むクリスティアン君(10)の部屋の洋服だんすには、高級スニーカー20足が並んでいる。一方で、14歳になったばかりのマクサンス君は、誕生日プレゼントにアディダス(Adidas)の800ドル(約8万8000円)のスニーカーを買ってくれと両親にねだったが、その願いは聞き入れてもらえなかった。「僕たちが住む世界ではスニーカーは基本、アートなんだ」とその魅力を説明する。

 高級スニーカーは、10歳前後の子どもから中年の成人まで誰もが欲しがるアイテムとなっている。高級スニーカーの多くは、スポーツブランドやファッションブランドとラッパーや有名スポーツ選手とのコラボレーションの限定版が多く、中には一足数万ドル(数百万円)するスニーカーさえある。

 例えば米メジャーリーグ、ニューヨークヤンキース(New York Yankees)のスーパースター、デレク・ジーター(Derek Jeter)選手の名を冠したスニーカー「エアジョーダン11 “デレク・ジーター”」は世界に5足しかない限定版で、最近では5万ドル(約550万円)前後までその値段がつり上がってる。

 ニューヨークは、盛り上がりをみせる高級スニーカーカルチャーの中心地の一つだ。高級スニーカーの始まりは1990年代にまでさかのぼる。ナイキ(Nike)がバスケットボールのスター選手、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)のために作った最初の「エアジョーダン」が大流行し、瞬く間にコレクターのマストアイテムになったのだ。

 そして2000年代にはインターネット、特にイーベイ(eBay)のようなオークションサイトの隆盛とともに市場が成長。今日ではセレブやソーシャルメディアのインフルエンサー、さらにヒップホップ文化がメインストリームに及ぼしている影響などによって、スニーカービジネスはグローバルに展開している。市場が特に大きいのは米国、欧州、アジア。2016年からは株式取引のようにスニーカーを売買できるサイト「StockX」もスタートした。