【7月30日 AFP】ツール・ド・フランス(2018 Tour de France)は29日、第21ステージ(ウイユからパリ、116キロメートル)が行われ、チームスカイ(Team Sky)のゲラント・トーマス(Geraint Thomas、英国)が子供の頃からの夢だったツール総合優勝を達成した。

 トーマスはチームサンウェブ(Team Sunweb)のトム・デュムラン(Tom Dumoulin、オランダ)に2分近い差をつけ、自身初のマイヨジョーヌ(イエロージャージー)を獲得した。2分24秒差の3位には、総合優勝4回の前回王者であるスカイのクリス・フルーム(Chris Froome、英国)が入った。

「まだのみ込めない。信じられない」と話した32歳のトーマスは、第105回大会の3週間に及ぶ「苦しい毎日」を終えて、疲れ切った表情を見せた。英国選手がツールの総合優勝を果たすのは、ブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins)氏、フルームに続いて3人目。スカイはここ7大会で6回目の総合優勝となった。

「昔からツールに出場するのが夢で、その夢は11年前にかなった。そして今、表彰台の上に立って、たくさんの人の前でイエロージャージーを着ている。とにかく…ワオという感じだ」

 アルプス越えの山岳ステージで連勝したトーマスは、前日の個人タイムトライアルで3位に入ってデュムランとの差を1分51秒に保ち、総合優勝を事実上確定させた状態でこのステージを迎えた。例年通りのお祝いムードでステージが進行する中、序盤はチームメートとともに喜び合い、ウェールズの選手としては初となるマイヨジョーヌ獲得者になった事実を堪能した。

 その後、パリのシャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りを周回するパートに入るとレースはヒートアップ。終盤に6人の逃げ集団を吸収したスプリンターたちはさらにペースを上げ、果敢に飛び出したクイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のイブ・ランパルト(Yves Lampaert、ベルギー)を追走した。

 そして、残り300メートルを切ったところでランパルトをとらえると、UTE(UAE TEAM EMIRATES)のアレクサンダー・クリストフ(Alexander Kristoff、ノルウェー)が差し切り、トレック・セガフレード(Trek Segafredo)のヨーン・デーゲンコルプ(John Degenkolb、ドイツ)とグルパマ・FDJ(Groupama-FDJ)のアルノー・デマール(Arnaud Demare、フランス)を抑えてステージを制した。

 トーマスはその少し後に、チームメートであり、練習パートナーであり、親友でもあるフルームと笑顔で冗談を交わしながらフィニッシュした。トーマスは「フルーミーのことはすごくリスペクトしている。もっと気まずい、緊張した関係になってもおかしくなかったが、彼は偉大なチャンピオンだ。尊敬する気持ちはずっと変わらない」とコメントしている。

 スプリント王であるボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)は、ピレネー山脈(Pyrenees)越えのステージで激しく落車した影響で、最終盤の平坦ステージでのスプリント勝負には参加しなかったが、今大会区間3勝を挙げて自身6回目となるマイヨヴェール(グリーンジャージー)を獲得し、ドイツのエリック・ツァベル(Erik Zabel)氏の記録に並んだ。

 山岳王者の証しであるマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(水玉ジャージー)は、すでに決まっていた通りクイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe、フランス)のものとなり、アルプスとピレネーで見事な山岳ステージ2勝を挙げた見返りを手に入れた。

 今大会で2度の表彰台フィニッシュを果たすなど、総合優勝の期待を背負っていた地元フランスでアージェードゥゼル・ラ・モンディアル(AG2r - La Mondiale)のロマン・バルデ(Romain Bardet)は、トーマスから7分近く遅れた総合6位という結果に終わった。

 その一方で、バルデのチームメートであるピエール・ラトゥール(Pierre Latour、フランス)は、25歳以下の最優秀選手に与えられるマイヨブラン(ホワイトジャージー)を獲得し、チームとしては一定の成果を残した大会となった。(c)AFP/Justin DAVIS