【5月6日 AFP】シリアから来たスザンさんは、ギリシャの首都アテネの北にある畑で、笑顔でタマネギを収穫している。

 難民キャンプと難民収容センターに何か月も閉じ込められた後だけに、農作業の大変さも気にならず、春の草花に囲まれながら、慣れ親しんだ戸外での収穫を楽しんでいる。

 スザンさんは、戦いが続くシリア北西部アフリン(Afrin)出身のクルド人だ。彼女が参加しているのは、ギリシャに足止めされて仕事がない何千人もの難民にどう対処するか、それからギリシャ国内の放置された農地をどう活用するか、という2つの差し迫った問題を同時に解決しようという取り組みだ。

 アテネから70キロ北の農村カパレッリ(Kaparelli)では、当初は懐疑的だった地元の農民と難民が今や協力し合い、お互いに利益をもたらしている。

 運営者の一人、サルマン・ダクドゥークさん(49)は「他人の施しに頼らない点が重要だ。新しく来た人たちが何もしない状況を強いられているところから抜け出すのを支援し、定住したい人に解決策があるということを示す」と述べた。「カストロ」のニックネームで呼ばれるダクドゥークさんはシリア人だが、ギリシャに長年住んでいる。農業の中心であるクレタ(Crete)島で何年も働いたことがあり、そこで得たノウハウを伝授している。

 カパレッリでの取り組みが始まったのは1年前。地元住民は休眠状態だったブドウ畑やオリーブ畑を生き返らせるために、畑を貸し出す手配を手伝ったり、荒れ畑の使用を許可したりしている。難民は給料を受け取る一方、ギリシャの経済危機で打撃を受けた地元の地主も利益を得ている。「現在、(村では)7家族を支援している」とカストロさんは語った。

 2015年から2016年にかけて欧州には大量の難民が流入し、ギリシャでは約5万人が足止めされている。大部分はシリア、イラク、アフガニスタンから逃れて来た難民だ。カパレッリの取り組みへの参加者は、アテネの独立系難民収容センターで暮らしていた約1000人の難民の中から選ばれた。(c)AFP/Catherine BOITARD