【4月12日 AFP】ミャンマーの裁判所は11日、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)問題を取材中に逮捕され国家機密法違反の罪で起訴されたロイター通信(Reuters)の記者2人から出されていた公訴棄却の申し立てを却下した。これにより2人の裁判は遂行される見通しとなった。ミャンマーにはロイター記者の逮捕・起訴をめぐって国際的な批判が集まっており、同国で報道の自由が縮小しかねないとの懸念が広まっている。

 ロイター通信に勤めるミャンマー人のワ・ロン(Wa Lone)記者(31)とチョー・ソウ・ウー(Kyaw Soe Oo)記者(27)は昨年9月2日、ラカイン(Rakhine)州インディン(Inn Din)村で兵士と住民にロヒンギャ男性10人が虐殺されたとされる事件を取材していたが、同州における政府軍作戦に関連した機密文書を所有していたとして、国家機密法違反の疑いで同年12月に逮捕され、後に起訴された。国際社会は2人の釈放を強く求めてきたが、ミャンマー当局は2人に対する裁判手続きを進めている。

 一方、ロイター通信は先月、2人の弁護団に著名な人権派弁護士のアマル・クルーニー(Amal Clooney)氏が加わったと発表した。

 ロヒンギャ問題では、およそ70万人のロヒンギャが軍の迫害を逃れるためミャンマーのラカイン州からバングラデシュの難民キャンプへの避難を余儀なくされた。国際社会は、ロヒンギャに対する超法規的殺人、民族浄化、集団虐殺などに責任があるとしてミャンマー政府を激しく非難してきたが、ミャンマー政府は、昨年8月25日に起きたロヒンギャの武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」による襲撃に対応したものだとして、ロヒンギャ迫害疑惑を否定している。映像は裁判所を出る両記者、ワ・ロン記者のための誕生日ケーキや報道陣の取材を受ける同記者の妻。(c)AFP