【4月3日 AFP】マレーシア下院は2日、「フェイク(偽)ニュース」の発信者に最高6年の禁錮刑を科す法案を可決した。同法案に対しては、選挙前に政権批判を封じる目的だと非難する声が上がっている。

 同法案は国内外のメディアに適用されるため、ナジブ・ラザク(Najib Razak)首相が設立した政府系ファンド「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」の不正疑惑への批判を封じる目的が一部にあるとみられている。

 ナジブ氏は数週間以内に実施される見通しの総選挙で3期目を目指しており、同氏が率いる連立与党はマレーシアで60年以上にわたって政権を握ってきた。

 下院で可決された法案は当初、当局が偽ニュースと見なした情報の配信者に最高10年の禁錮刑と罰金50万リンギット(約1400万円)を科すとしていたが、政府は激しい非難を受け、禁錮を6年以下に引き下げていた。

 同法案は上院で審議され、国王の承認を経て発効するが、上院は与党連合「国民戦線(Barisan Nasional)」の議員が過半数を占めているため可決は確実とみられる。

 同法が適用される偽ニュースとは、「一部または全てがフェイク」と見なされた情報で、フェイクだと分かった上でそうした情報を流したブロガーやソーシャルメディアでシェアしたユーザー、演説した者などが対象となる。(c)AFP/Patrick LEE