【3月2日 AFP】2月25日に閉幕した平昌冬季五輪の記憶に残る場面を、AFPがピックアップして振り返った。

――プーさんの海(フィギュアスケート男子シングル)

 羽生結弦(Yuzuru Hanyu)が見事な演技を見せた江陵アイスアリーナ(Gangneung Ice Arena)には、「くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)」のぬいぐるみの雨が降った。熱烈なファンは羽生のお気に入りのクマを投げ込んでたたえるのが恒例になっているが、今回も23歳はファンの期待を裏切らず、見事に金メダルを獲得。もっともキスアンドクライでは、商標の問題で愛用のプーさんのティッシュカバーを使うことはできなかった。

――同性愛公表の選手(フィギュアスケート団体)

 カナダ代表としてフィギュアスケート団体戦を制し、同性愛を公表した選手として初めての五輪金メダリストになったエリック・ラドフォード(Eric Radford)は、試合後に「誇らしくて爆発しそう」とコメントした。今大会は他にも、同じくフィギュア団体で銅メダルを獲得した米国のアダム・リッポン(Adam Rippon)も同性愛を公表しており、ゲイのフリースタイルスキー選手、ガス・ケンワーシー(Gus Kenworthy)はパートナーにキスしているところをテレビで生中継され、こんな瞬間を迎えられるとは「夢にも思わなかった」と話した。映像はSNSでも瞬く間に拡散した。

――帽子姿の「美女軍団」(北朝鮮の応援団)

 このところ鮮明になっている南北融和の流れ、あるいは「ほほ笑み外交」の一環として、北朝鮮は有名な「美女軍団」200人以上を平昌に送り込んだ。赤いトレーニングウエアと毛玉のついたニット帽をまとった彼女たちは、監視役がじっと見つめる中、一糸乱れぬ動きで拍手や歓声を送り、優しい愛の歌で地元韓国の観客を魅了した。ただし競技の方はいまひとつで、選手の成績は全体的に振るわなかった。

――ネクスト・キム(スノーボード女子ハーフパイプ)

 フィギュアスケートの女王、金妍児(Yu-Na Kim、キム・ヨナ)さんの引退をいまだに引きずっている感もある韓国のスポーツファンは、今大会でクロエ・キム(Chloe Kim)という新たなスーパースターを見つけ出した。国籍が米国なのは玉にきずだが、韓国人の両親を持ち、米人気歌手レディー・ガガ(Lady Gaga)の曲を聴きながら滑るという17歳は、金メダルを獲得して韓国のファンの心をわしづかみにし、大歓声を浴びた。現地には「クロエ・マニア」が大量に生まれ、米国人のキムは韓国で行われた今大会の顔になった。

――チェコの「雪の女王」(アルペンスキー/スノーボード女子)

 クロエ・キムが大会1週目のピンナップガールだったとすれば、2週目開始直後から話題をさらったのはチェコのエステル・レデツカ(Ester Ledecka)だろう。アルペンスキーのスーパー大回転で金メダルを手にし、チェコメディアから「雪上の奇跡」と呼ばれた命知らずの22歳は、本職のスノーボードでも順当にパラレル大回転の金メダルを獲得。史上初の競技をまたいだ2冠という歴史的快挙を達成した。