【2月23日 AFP】「ラストスパートの最中に電話が鳴ったとしても、後でかけ直すね」。エスパン・ソーレセン(Espen Thoresen)さんはそう言って笑う。五輪期間中、ノルウェーではときに仕事は二の次になる。

「スキーを履いて生まれてくる」と言われることもあるノルウェー人は、得意のスポーツが集中開催される冬季五輪が始まると、大会に熱狂する。仕事場でも五輪を熱心に追いかけ、上司もそれをとがめたりはしない。

 ソーレセンさんが勤めるのは、学習アプリなどをつくるカフート(Kahoot)というオスロのスタートアップ。会社の共用スペースには壁掛け式の巨大薄型テレビが置かれ、遠く離れた韓国・平昌(Pyeongchang)で活躍するバイキングの末裔(まつえい)たちが映し出されている。会社は五輪と同様、多国籍なスタッフで構成されるが、この日はノルウェー出身の2人がテレビの前の肘かけ椅子に腰を下ろし、ノルディック複合の中継を見つめていた。

 時差があるため「五輪はこっちの朝に放送されるから、少し休憩を取るようなつもりで見ればいい」とソーレセンさん。競技が白熱してきたら電話は無視すると宣言する彼は「午後2時には終わるし、そこからフルスロットルで働けば、五輪を見ながらでも仕事は十分にできる」と話している。

 五輪期間中、こうしたスタンスを取るのはソーレセンさんだけではない。国内ケーブルテレビ局が五輪開幕前に行った調査によると、約4人に1人が仕事をしながら観戦するつもりだと答えたという。特に男性の12パーセントは、上司から仕事中の観戦を禁止されても従わないと答えた。