【2月10日 AFP】世界で最も貧しい大陸のアフリカでは、毎年10万人近くが偽造薬が原因で命を落としている──。

 コートジボワールの最大都市アビジャン(Abidjan)で公然と営業している巨大な偽造医薬品販売市場「ロキシー(Roxy)」は、これまで幾度となく当局の標的にされ、在庫を焼却処分されてきた。しかしこの聖域は毎回、息を吹き返す。

 痛み止めから抗生物質、抗マラリア薬、抗レトロウイルス薬まであらゆる薬を扱っている販売業者の一人、マリアムさんは「警察はうるさく言ってくるけど、彼らだってこうした薬(偽造薬)を買ってるからね」と語る。「邪魔をされたときはいつも(警察と)商売再開の取り決めを結ぶことになっているのよ」

 別の業者のファティマさんも「大勢の人が処方箋を手に薬を買いに来る。診療所の経営者だって来る」と話す。ファティマさんによると、偽造医薬品産業を牛耳る「シンジケート」が定期的に会合を開き、値段と供給量を決めているという。

 世界保健機関(WHO)によると、アフリカ大陸では毎年約10万人が偽造医薬品によって命を落としているという。

 この違法産業は売上高で世界の医薬品ビジネスの少なくとも10%を占めるまでに成長し、毎年巨額の利益を生み出している。スイスに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)の推計によると、市場規模はこの5年間で3倍近く成長している。

 フランス赤十字(French Red Cross)の元トップで、感染症と熱帯病の専門家でもあるマルク・ジェンティリーニ(Marc Gentilini)氏は、ニジェールで数年前に髄膜炎が大流行したときに送られたワクチンの一部は偽物だったとAFPの取材に説明した。西アフリカの乾燥地帯にある同国ではこの病気で毎年数千人が命を落としている。