【9月24日 AFP】裁判所や政府機関からタイプライターの音が響いている。だが、インドの経済的中心地ムンバイ(Mumbai)では、この音はもうすぐ過去のものとなるかもしれない。

 ムンバイがあるマハラシュトラ(Maharastra)州には約3500校のタイピスト養成学校があるが、政府が推し進める経済のデジタル化に伴い、徐々に姿を消すことになる。それらの学校で先月、政府が主催する最後のタイピング検定が実施された。

「完全に一時代の終わりだ。技術革新のせいで、もうタイプライターはお払い箱だ」。80年以上の歴史を持つ、速記とタイピングの専門学校を運営するアショク・アビヤンカール(Ashok Abhyankar)氏は話す。

 マハラシュトラ州では毎年約70万人がタイピング検定を受けてきた。人気のある政府の事務職や速記者を目指す多くの貧しい若者にとって、タイピングの資格は失業や村の暮らしから抜け出すためのチケットだった。

「パソコンの価格低下とともに、政府はタイプライターの使用をやめつつある。タイプライターに未来はない」。アビヤンカール氏は語った。(c)AFP