【5月30日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が殺害された事件で、実行犯として殺人罪で起訴された女2人が30日、マレーシアの裁判所に出廷した。2人は厳重な警備の下、防弾ベストを着用して姿を現した。

 被告2人はともにリアリティー番組に出演していると信じ込まされていたとして殺意を否認している。殺人罪で有罪の場合には死刑が適用される。

 インドネシア国籍のシティ・アイシャ(Siti Aishah)被告(25)とベトナム国籍のドアン・ティ・フオン(Doan Thi Huong)被告(28)は、公判前の裁判手続きのために出廷した。被告の弁護士らは、検察の関連資料がそろっていないとして非難した。

 シティ・アイシャ被告の弁護団長は「公正な裁判には、すべての重要文書が弁護側にできるだけ早い段階で提示されることが求められる」と述べた。これに対し検察側は、公判開始前にはそれらを提供すると約束した。

 またこの日、裁判を高等裁判所に移すという検察側の要請が認められた。高裁は被告が罪状認否を行う日を1か月以内に決める予定だ。裁判日程の決定後、検察と弁護団に60日間の準備期間が与えられる。

 韓国政府は、暗殺の背後にいるのは北朝鮮政府だと非難しているが、北朝鮮側はこれを否定している。(c)AFP