【5月12日 AFP】マレーシア・サッカー協会(Football Association of MalaysiaFAM)は11日、物議を醸しているアジアカップ(2019 AFC Asian Cup)予選が北朝鮮・平壌(Pyongyang)で行われれば、自国の選手が毒を盛られる可能性があるとの懸念を示した。

 FAMのトゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム(Tunku Ismail Sultan Ibrahim)会長は、選手の安全に不安があるとして中立地での開催に変更することを求め、フェイスブック(Facebook)に掲載した声明で、「正直なところ、選手の安全のために試合は中立地で行うことが望ましい」と述べた。

「現地で用意される宿泊施設と食事についても、安全の確保がとても心配だ。私が入手した情報によると、妨害工作の可能性を考慮し、われわれは自ら食べ物を持ち込む必要がある」

「レフェリーの問題も大きな懸念材料だ。北朝鮮にとって不利な判定があった場合、試合を担当した審判の身の安全に影響があるかもしれず、そのことで彼らが重圧にさらされることは確実だ」

 マレーシアでは今年2月、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が殺害され、両国間に大きな外交問題が生じた。

 金正男氏が殺害されたことを受け、両国は自国内における滞在者を互いに出国禁止にし、相手国の大使を国外追放処分とした。クアラルンプール(Kuala Lumpur)の空港で神経剤VXを使用したとされる正男氏殺害事件をめぐっては、韓国が北朝鮮による画策であると非難し、マレーシア警察も北朝鮮国籍の人物数人を容疑者として断定した。

 こうした緊張関係にもかかわらず、アジア・サッカー連盟(AFC)は先日、マレーシア政府が渡航制限を緩和したことを受けて試合を6月8日行うことを決定。AFCのこの決定に対して、FAMは不服申し立てを行っている。

 2019年アジアカップで大会初出場を目指すマレーシアは、その最終予選となる北朝鮮戦でプレーすることを拒否した場合、0-3での敗戦に直面することになる。(c)AFP