【5月11日 AFP】アジア・サッカー連盟(AFC)は10日、アジアカップ(2019 AFC Asian Cup)予選を北朝鮮の平壌(Pyongyang)で行う決定に対し、マレーシア・サッカー協会(Football Association of MalaysiaFAM)から不服申し立てがあったことを明らかにした。

 AFCは8日、延期されていた試合を6月8日に平壌で開催すると発表したが、マレーシアはこれに反発。AFCのウィンザー・ジョン(Windsor John)事務局長は、「FAMから不服申し立てがあった。われわれはそれを精査している」とコメントしている。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が2月、クアラルンプール(Kuala Lumpur)の空港で殺害されたことを受け、両国の大使は国外追放になり、自国内における滞在者を互いに出国禁止にするなど、両国間の緊張は高まっていた。

 マレーシアは当初、アラブ首長国連邦(UAE)で開催される2019年のアジアカップ予選の北朝鮮戦を3月28日に平壌で行う予定だったが、安全上の観点から同地における代表チームのプレーを禁止。これを受けたAFCも、「外交的緊張の高まり」を理由に試合の延期を決定していた。

 金正男氏の遺体が北朝鮮に移送されたことを受け、両国間の渡航禁止は3月下旬に解除。ジョン事務局長は、マレーシア政府が北朝鮮への渡航を制限しないことが確認されたため、「今は渡航禁止が解除されているので、(FAMが中立地での開催を求める)正当な理由がない」との見解を示した。

 マレーシアの地元紙マレーメール(Malay Mail)は、FAMのハミディン・モフド・アミン(Hamidin Mohd Amin)事務局長が「中立地での試合が望ましい。まずは(平壌で試合を行うという決定に対して)不服申し立てを行う」と述べ、協会はいくつか懸念を持っていると伝えている。

 韓国は金正男氏殺害の黒幕は北朝鮮だと非難しており、マレーシア警察は複数の北朝鮮国籍の人物を容疑者として断定。クアラルンプール国際空港で金正男氏に対して神経剤VXを使用したとして、インドネシア国籍とベトナム国籍の女性が逮捕・起訴されている。(c)AFP