【3月17日 AFP】地中海(Mediterranean Sea)の島国キプロスで、2016年秋に密猟者らによって殺された野鳥の数が推定230万羽に及んだことが、鳥類保護団体の16日の発表で明らかになった。このうち、同国にある英国軍基地で殺された野鳥は80万羽に上るという。

 キプロスで密猟は禁止されているが、コマドリやムシクイなどの鳴鳥をわなで捕獲し、「アンベロポウリア(ambelopoulia)」と呼ばれる違法な珍味として提供することが常習的に行われている。

 欧州とアフリカの間を季節移動する中でキプロス島を重要な立ち寄り場所として利用する数種の渡り鳥を含むこれらの野鳥は、網や粘着性の物質を塗ったライムスティック(limestick)と呼ばれる止まり木を使って捕獲される。

 鳥類保護NGO「バードライフ・キプロス(Birdlife Cyprus)」と英国王立鳥類保護協会(RSPB)によると、密猟率は史上最悪の水準に達しており、犯罪組織がこの活動で大金を稼いでいるという。特にデケリア(Dhekelia)の英軍基地はキプロス全体で最も野鳥捕獲が盛んな最悪のホットスポットとなっているとRSPBは指摘している。

 RSPBのジョナサン・ホール(Jonathan Hall)氏は英政府に「この活動を厳しく取り締まり、デケリアでの違法な鳴鳥捕獲を終わらせる」よう要求した。

 キプロスが1960年に独立した際に軍事基地地域2か所の主権を保持した英国は、密猟に対処する警察部隊をデケリア基地に配置している。

 だが保護団体は、その警察部隊が十分に機能していないと指摘し、密猟者らは基地の射撃演習場で小鳥を呼び寄せる鳴き声を流す電子機器を公然と使用していると話した。