【1月28日 AFP】陸上男子短距離のスーパースター、ウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)は27日、リレーのチームメートの禁止薬物違反により、五輪で獲得した合計9個の金メダルのうち1つを剥奪されたとしても、自身の築いた輝かしいキャリアが汚されることはないとの見解を示した。すでに金メダルを返還したことを明らかにしたボルトは「メダルを失うことは残念だが、自分のキャリアが傷ついたわけではない。個人競技で勝ち取った成功が、私にとって最も重要だからね」と語っている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は25日、2008年北京五輪のドーピング再検査の結果、ネスタ・カーター(Nesta Carter)から禁止薬物の陽性反応が出たため、男子4×100メートルリレーを制したジャマイカを失格処分にすると発表。カーターとジャマイカ五輪委員会(JOA)は、処分を不服として提訴する意向を示しているが、ボルトは「現在の状況に納得したわけではない。だけど、ルールはルールだ」と話し、「これからどうなっていくのか、動向を見守っていかなければならない」とコメントした。

 カーター、マイケル・フレイター(Michael Frater)、ボルト、アサファ・パウエル(Asafa Powell)を擁したジャマイカチームは、27日までに全員がメダルを引き渡している。これにより、ボルトは北京五輪をはじめ、2012年ロンドン五輪、昨年のリオデジャネイロ五輪で成し遂げた男子100メートル、200メートル、4×100メートルリレーの「3種目3冠」のうち1つが欠けることになる。

 ボルトは3大会連続で成し遂げた「3種目3冠」が素晴らしい偉業であることを認めながらも、それにこだわりをみせておらず、「僕はこのスポーツで欲しかったものをすべて手に入れたし、陸上界に大きな影響を与えることができた。これまでにたくさんのことを成し遂げてきているので、不満なんてないよ」と述べた。

 提訴の意向を示しているカーターに資金援助を行う用意があると報じられているボルトは、今回のメダル剥奪を受けてカーターとまだ話していないとしながらも、両者の間にわだかまりはないとしている。(c)AFP