【12月18日 AFP】アフガニスタン南部で17日、空港で勤務する女性5人と運転手が銃撃を受けて殺害された。紛争で荒廃した保守的な同国で、雇用される女性たちの危険性が浮き彫りとなった。

 殺害された女性らは民間会社の従業員で、空港で女性旅行者の荷物や身体検査を担当していた。同国南部カンダハル(Kandahar)にある空港にワゴン車で向かう途中、バイクに乗った3人の男に銃で撃たれたという。

 カンダハル州の報道官はAFPに対し、「ワゴン車に乗っていた女性全員と運転手が死亡した。容疑者らは現場から逃走しており、現在捜査が行われている」と述べた。

 アフマドゥラ・ファイジ(Ahmadullah Faizi)空港長は、殺害された女性たちは女性が仕事に就くことを認めない人々から殺害予告を受けており、身の安全に懸念を抱いていたと述べた。

 1996年から2001年まで厳格なシャリア(Sharia、イスラム法)でアフガニスタンを支配していた旧支配勢力タリバン(Taliban)は女性が家の外で働くことを認めていないが、今回の事件には関与していないとしている。

 しかしアフガニスタンの働く女性は以前から、武装勢力や保守的なイスラム主義者から襲われる危険に直面してきた。

 アシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領は、罪のない市民と女性の殺害は「アフガニスタンの敵の弱さの現れだ」と語った。また国連(UN)も殺害を非難し、「迅速で効果的、かつ公平で透明性の高い捜査」の実施を呼びかけた。

 2001年のタリバン政権崩壊後、アフガニスタンの女性は目覚ましい進歩を遂げたものの、公的な仕事をする女性まだ少なく、相変わらず暴力や抑圧、虐待を受けている。

 アフガニスタン法務長官室の統計によると女性に対する暴力事件は昨年は約5000件、今年は1~8月で3700件以上に上っている。(c)AFP