【10月15日 AFP】オゾン層の保護に関する国際協定「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」の締約国会議で15日、約200か国の代表が、冷蔵庫やエアコンの冷媒として使用されている温室効果ガス、ハイドロフルオロカーボン(HFC、代替フロン)の使用を段階的に削減することで合意した。

 ルワンダの首都キガリ(Kigali)で開かれた会議の議長を務めた同国のビンセント・ビルタ(Vincent Biruta)天然資源相は「(議定書の)改定案と決議事項が採択された」と述べた。

 採択に先立ち欧州委員会のミゲル・アリアスカニェテ(Miguel Arias Canete)委員(気候行動・エネルギー担当)は声明で「これは気候のための大勝利だ。2015年12月に締結されたパリ協定(Paris Agreement)を履行する上で、具体的な大きな一歩を踏み出した」、「今日私たちが合意した地球規模での段階的削減によって、今世紀末までに温暖化を最大で0.5度程度、抑制できる可能性がある」と述べた。

 会議ではインドをはじめとする途上国が、HFC類の段階的削減の行程表と、移行にかかる資金負担めぐって抵抗し、厳しい交渉が行われた。

 HFC類はオゾン層を破壊していたことが判明した化学物質の代替品として1990年代に導入されたが、後に地球温暖化にとって壊滅的な物質であることが判明した。しかし、HFC類からアンモニア、水、ハイドロフルオロオレフィンと呼ばれるガスなどへの移行は、インドのように夏は酷暑に見舞われる途上国に巨額の負担を強いる可能性がある。

 HFC類以前に使われていたクロロフルオロカーボン(CFC、フロン)類は、太陽の有害な紫外線から地球を守るオゾン層を破壊することが明らかとなり、1987年に採択されたモントリオール議定書で全廃が決定された。

 HFC類は回復傾向にあるオゾン層には無害だが、主要温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)の数千倍も温室効果が強い。CO2、メタン、亜酸化窒素と同じ温室効果ガスであるにもかかわらず、パリ協定では規制対象となっておらず、モントリオール議定書で規制された。(c)AFP