【8月10日 AFP】西アフリカのセネガルで、子どもたちの寄せ集めチーム相手に野球を教えている一人の日本人青年がいる──小川龍馬(Ryoma Ogawa)さん(24)だ。元高校球児の小川さんは2015年1月、途上国支援機関、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊としてセネガルに赴任し、野球の指導員ボランティアをしている。

 小川さんは首都ダカール(Dakar)北部のワッカム(Ouakam)の空き地に週5日、色あせた紫の布袋を引きずっていく。中には、中古のグラブとボール、バットなどが詰め込まれている。サンダルとジーンズ姿で集まった子どもたちは、練習前に「グラウンド」を掃除する。

 AFPのインタビューに小川さんは、初めてセネガルを訪れた際は誰も野球などしておらず、「野球…なんか変なスポーツやってるぞ」といった程度だったと話した。

 日本のように、ここには整備された野球場はない。観客席もユニフォームもヘルメットも芝生もないが、子どもたちは楽しみながら野球を学び、技術を向上させている。

 小川さんの仕事は一筋縄ではいかない。とりわけ大きな障害が一つある…コミュニケーションだ。

 この問題については、「フランス語は得意ではないが、向こうが分かったって言ってくれるまで、また同じプレーが何回もあって、毎回拙いフランス語で説明して…(そのうちに)だんだんと向こうが聞き取ってくれるようになる、というか、感じ取ってくれるようになる。それでどうにかなる」と話した。

 多くの子どもたちは学校でフランス語を習う。そのため、グラウンドで練習しているときは、セネガルで一般的に話されているウォロフ語に加えて、小川さんから学んだ日本語なまりの英語も使ってコミュニケーションを図っている。

 ここで野球を学んでいる少年の一人、カデル・デメ君(16)は、「彼(小川さん)が言葉に詰まったとき、何を言おうとしているのか、皆で汲み取ろうとするんだ」と笑顔で話した。