【8月1日 AFP】人口が減少しているハンガリーで、反移民を掲げるオルバン・ビクトル(Orban Viktor)政権には頭痛の種がある──外国人労働者に頼ることなく、いかに人材不足に対応するかという問題だ。

 2004年に欧州連合(EU)に加盟したハンガリーでは、08年以降、40万人が国外に流出しており、過去35年間では同85万人に上る。1980年代以降の出生率も欧州最低水準となっており、総人口はついに1000万人を切った。

 ハンガリー製造業者全国協会(MGYOSZ)の最近のまとめによると、国内企業の少なくとも4分の1が人材不足に悩んでいるという。

 コールセンターで働くマールク・シュテルンさんと教員のリタさん夫婦も、最近国外への移住を決めた。幼い子どもを連れ、間もなくアイルランドに引っ越す予定だという。

 出発に先立ちリタさんは、首都ブダペスト(Budapest)近郊のギョムロー(Gyomro)でAFPに対し、「アイルランドには友達がいるし、私たちは英語も話せる。それに働きたい人にとっては就業機会も多い」と述べた。

 2010年に首相に就任した保守派のオルバン氏は、この切迫した現状を是正しようと、出生率向上や国外移住者のUターンを促す一連の施策を打ち出した。オルバン首相自身、5児の父だ。

 昨年6月以降、Uターンの帰国者に対しては「帰国歓迎金」として3000ユーロ(約35万円)が支給されている上、就労先や住居を探す際の支援も受けられる。しかし、この制度を活用した人は、これまで105人にとどまっている。

 今後10年間に子どもを3人以上持つ予定、もしくはすでに子どもが3人いるカップルは、1000万フォリント(約370万円)の住宅購入補助金に加え、同額の融資を低金利で受けることができる。昨年の申請者は1万2500人を超え、経済学者らはこれによって不動産価格が10~30%上昇したとみている。

 人口統計局のバラージュ・カピターニ(Balazs Kapitany)局長は、Uターン時の教育・医療制度への再加入手続きの簡素化をはじめ、政府にできることはもっとあると指摘する。それでも長期的には、ハンガリーの人口を増やすのは難しいというのが同氏の見方だ。