【6月24日 AFP】絹のようなつややかな髪にティアラをかぶり、サテンのドレスに身を包んだパスカリーヌ・ブカリ・コンバーテ(Pascaline Boukari Kombate)さんは、他の美女コンテストの優勝者と同じように見える。しかし彼女が誇りをもって身に着けている青のたすきには、特別な意味合いがある。

 コンバーテさんは、トーゴの「バージン・クイーン」。役割は、10代の妊娠増加とHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染が問題になっている同国で、学校を回って純潔の重要性を説くことだ。

「トゥルー・ラブ・ウェイツ」(True Love Waits)や「シルバー・リング・シング」(Silver Ring Thing)といった純潔運動は、特に米国のキリスト教福音派団体の間で普及してきた。

 これらの運動は結婚まで純潔を保つことに重きを置くが、トーゴでの運動は一段と踏み込んだものとなっている。

 過去7年間では、毎年約100人の若いトーゴ人女性が、バージン・クイーンのコンテスト出場のために処女検査を受けた。

 コンバーテさんは科学技術と社会教育を学ぶ21歳の大学生で、昨年、クイーンに選ばれた。トーゴの首都ロメ(Lome)の学校で、コンバーテさんは生徒に語りかけた。「勉強が第一で、セックスはその後。2つのことを同時にすることはできません」。

■「処女検査」

 コンテストを主催する青年団体、AV-ジュンヌ(AV-Jeunes)の代表、ロドリグ・アコリー(Rodrigue Akolly)氏によると、大会には16~24歳の女性が出場可能。「早期の妊娠とHIV感染を減らすために活動している」という。

コンテストでは、コンバーテさんが受賞した「バージン・クイーン」に加え、大学生などの各年代から3人の勝者が選ばれる。

 わずか数か月間で、コンバーテさんら4人はロメや別の町にある約30の学校を訪れた。

 コンバーテさんは「多くの生徒が、妊娠を理由に退学しました。自己管理を取り戻し、将来について考えなければなりません。私の場合、学業を終え、職を見つけることが唯一の目標です」と強調した。

■「タブーの打破」

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、2014年に15~24歳の若者の約1.6%がHIVに感染した。全体の感染率は2.5%で、女性が感染する可能性は男性の2倍に上った。

 10代の妊娠は、トーゴで社会問題となっている。

 トーゴ最大の女性権利団体、GF2Dでコーディネーターを務めるエピファニー・フメイ・エクルコエバヌ(Epiphanie Houmey Eklu-Koevanu)にとって、「警戒すべき」現状を変える唯一の方法は、セックスについてのタブーを破ることだという。

 エクルコエバヌさんは「子どもたちに、現在生きている社会の変化に適応した教育をしなければいけません」と強調。

 一方で、議論はセックスにおける純潔性だけにとどめるべきではないと主張した。「若い女性に、避妊のために何が必要かをはっきりと教える」ことが重要だという。(c)AFP/Emile KOUTON